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2010年2月28日 (日)

和の万華鏡展 寺前みつ子さんのこと

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100年続く窯元九谷美陶園の奥様であり、陶芸デザイナーの寺前みつ子さんとは、私は10数年前に北大路魯山人の取材で知り合いました。
当時講談社から出ていた「四季食彩」という雑誌があって、そこで魯山人特集をしたのです。
四季食彩の編集長であったO氏(今回辻輝子展で非常にお世話になった)の紹介でした。かつて魯山人の窯元で陶工をしていらした方を取材するにあたり、石川県山中にいたその方のところに連れて行ってくださったのです。
本当に親切に初対面の私によくしてくださいました。
その後、なんどか美陶園への取材も重ね、親しくさせていただいています。
なにしろ磁器の技法、デザインについては折り紙付きで、伝統とモダンがミックスされていて、東京のデパートでも人気のブランドです。
ある時私が万華鏡のことを話しましたら、すぐに興味を持ってくださって、あっという間に試作品を作られたのには驚きました。
最初はオーナメントとしての万華鏡という考えでした。
なぜなら彼女は旅行が趣味で世界中に行っているため、外国に売るためにはその方がよいだろうと思われたのです。
実際、何年か前のアメリカ・コンベンションに参加され、そこでスイスのコレクターが高さ25センチほどの壺に仕組んだ万華鏡作品をお買いあげになりました。
しかし日本ではそれはちょっと難しいのではと思っていたところ、次ぎにペンダント万華鏡を作られ、それはとても素敵なものです。
2~3年前でしたか伝統ある日本クラフト大賞にも入選されました。
もうご高齢で(でもすごくお元気ですが)あまり万華鏡の方は制作されないとのことですが、いろんな意味でとても頼もしい先輩です。

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2010年2月25日 (木)

ポリカーボネートミラー

ある作家さんがミラー材料の高騰を嘆いていらしたので、アクリル(ポリカーボネート)ミラーを試作してみることをご提案しましたが、使用には不安ということでした。
ポリカーボネートはその強度は折り紙付きで、ある企業が絶対割れない鏡を作りたいということで成功し、商品名を「ワレーン」としたほどです。
これは「ふしぎ箱」用のミラーを大阪のあるメーカーさんが作ってくれていて、それがポリカーボネートなんです。
それで筒型万華鏡のミラーもやってみようということで、試作されたのです。
表面にアルミを蒸着するのはガラスでもアクリルでも同じ、表面の平滑度を高めることで、いわゆるスパッタリングミラーと同じものを作ることは可能、ただマーケットが小さければやはり高価なものになってしまう。
量産できるようになれば、ガラスよりは安価になるでしょうとのことでした。
そこで、プラスティック製品の専門家でいらっしゃる小嶌さんに、試作をお願いしています。
ところが小嶌さんが階段から落ちて怪我されたとのことで、しばらく試作品はお預けとなりました。

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和の万華鏡展 個々の作品について4

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仙台万華鏡美術館のスタッフが「これも万華鏡?」とびっくりしたのが、名取清さんの「箪笥」です。
私も最初に拝見したのはいつでしたか、IKA展の時だったかと思いますが、そのアイデアに感心しました。
拙著『万華鏡の秘密』で、ミラーシステムの種類をできる限り紹介したのですが、それがひとつの作品になっているな~と思ったのです。
5つの本体(正三角形3ミラー・二等辺三角形3ミラー・直角三角形3ミラー・二等辺三角形2ミラー・四角形3ミラー)で6つのオブジェクト(テレイド・偏光フィルム・オイル・マーブル・ドライ・ホイール)を見られるようになっています。
これは単に展示するだけでなく、何らかのレクチュア付で紹介したらいいと思うけど、なかなかそこまで手が回らなくて、申し訳ないと思いました。
この作品はさまざまな展覧会で展示されているので、ご覧になった方も多いでしょう。
名取さんは、映像をいろいろ工夫されていて(もちろんどなたもそうなのですが)、小品ながらちょっと惹きつけられるという感じが好きです。
今回出されたもので角型の万華鏡で偏光フィルムを使っているものなど、なにげないのだけどついつい見入ってしまう、そのなにげなさがいいですね。
以前作られていた動物シリーズを今はやめていらっしゃるとのこと、すごく残念でした。
あの猫やうさぎの顔のラインがなんともいえずよかったのに・・・。

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2010年2月19日 (金)

和の万華鏡展 個々の作品について3

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中里保子さん。今回は陶芸家辻優子さんとのコラボで香炉とお雛様のみのご出品でした。
香炉はいつもの赤と青のシリーズでお雛様ともどれも中里さんらしい品のよい映像で、ちょっと宝物的作品です。
お雛様が来たのでふと思いついて、九谷美陶園の寺前みつ子さんが、やはりお雛様の万華鏡を作っていらしたことを思い出し、出品していただくようにお願いしました。
偶然、井野文絵さんも雛の絵柄を出品されて、3点雛がそろったところ、美術館の方から「雛」をテーマで企画展をしたらどうだろうという話が持ち上がりました。
たしかに、テーマというのは大事なこと。人を惹きつけていくためには、漫然としていたのではダメ、見せる側のある主張が必要かと思います。
大いに賛成してすぐに準備に入られHPで紹介したところ、共同通信が取材申し込みしてくれたとのことで、波多野マネージャーとても喜んでいらっしゃいました。

ところで、中里さんの万華鏡が京都市長から秋篠宮家のご長女に献上されたとのこと。
中里さんも心を込めて制作されたそうで、お喜びでした。
皇室には実は美智子皇后とお親しい辻輝子氏(ちなみに辻優子さんと辻輝子氏はとくに関係はありません。念のため)より、いくつか献上されています。
愛子様がお生まれになったときも「愛子ちゃん万華鏡」ができたし、秋篠宮家のところにももちろん行っています。
ですので、皇室は万華鏡には親しんでいらっしゃる。
愛知万博の時に皇太子ご夫妻が大型万華鏡「大地の塔」(でしたっけ?)にいらしたのも、そんな布石があったからではないかと思っているのですが・・・。
そんなわけで、皇室ご一家も万華鏡を楽しまれていらっしゃると思います。
だからどうだというわけではありませんが・・・。

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2010年2月17日 (水)

和の万華鏡展 個々の作品について2

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いつもたくさん出してくださる清野一郎さん。
陶芸のベテランですから、手堅く、また数も作っていらして、映像、外観共にバラエティ豊かで、毎回楽しませていただいています。
テーマも花や水といった自然、宇宙、古代等々、いろいろな技法を駆使してそれぞれが個性的です。
固定ファンがついていらっしゃるご様子、プロとしての姿勢はさすがです。
しかし、前にも申しましたが、出来れば大きさがいまのより3分の2ぐらいのものがあったらいいな~と思うのです。
その方が見た目もしまって、持った感触もいいように思うのですがいかがでしょう?
何度も言うように万華鏡は掌中の宝、女の人が持ったとき、いまのものはいかにもごつく感じてしまいます。

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2010年2月15日 (月)

和の万華鏡 個々の作品について1

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和の万華鏡展、個々の作品について何もフィードバックしなかったのは、私の怠慢です。
遅ればせながら思いつくままに述べさせていただきます。
今回、一番評価したいのは加藤瑞枝さんの作品です。
加藤さんは基本はステンドですが、新たにバート・ド・ヴェールという技法を習得されて、外観の装飾に使っています。そのため出来上がりが単なるステンド作品とは段違いに装飾性のある、複雑な深みのあるものになっています。
この作品を作られるためにかけた時間と労力は相当なものであったと思われます。
映像も外観の雰囲気に合わせて、色づかいも考えられており、非常に完成度の高い整合性のある作品だと思いました。
たくさんの他の作品の中に並列で展示したのは、後で考えて残念、もっと目立つところに別立てで飾ればよかったと思います。
工芸展でも今回の川崎市民ミュージアムでも入選されたのも、うなづけます。
このまま精進を重ねていらっしゃれば、万華鏡の世界でというより、工芸の世界で評価されていくのではないでしょうか。
ただ、多分ご性格もとても真面目でしっかりされた方ではないかと思うのですが、そのためもう少し遊びというか、おもしろみが欲しいという気持と、でも職人芸として今の持ち味を進めていってもいいかもしれないという気持と、両方で揺れ動きます。
それは加藤さんご自身が選んでいかれることだと思いますが。
いずれにしてもがんばって欲しいと思います。

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2010年2月11日 (木)

和の万華鏡展を終えて

たくさんのお作品を出していただいて、大変感謝しております。
しかし、今年は全体的に見てちょっとインパクトが弱かったかな、と思いました。
というのは、作家さんたちが、売れ筋ということを気にしすぎたように思うのです。
景気が悪いから安くして、という風に考えていくと、どんどん悪い方へいってしまうのではないか。なんとなく今年は縮こまった感じを受けました。
ある作家さんが「作品ではなく商品と考えていないか」と言っていらしたけど、たしかにそういう側面も出てきてしまったように思います。
私自身も、お預かりして売れないと申し訳ない気持になるので「売れるものを」などと言ってしまったのですが、反省しています。
売れるものではなく、自信作を、作家さんが見せたいと思うものを出していただくようにしなければいけないと思いました。
ですから、数は少なくていいのです。
売る展覧会ではなく、見せる展覧会にするべきではないかとも思います。
その結果として、売れればけっこうですけれど。

ある偉い陶芸家の方ですが、事情があってどうしても何百万というお金が必要になり、買ってくれるという人がいるので、そのために作品を作ったところ、焼成の段階ですべて失敗してしまったそうです。
何十年という作陶生活の中で、お金のために作品を作ったことはなかった。いつも美しいものを作りたい、誰かに喜んでもらいたい、自分が作りたい、そういう思いで作ってきて、その結果として作品が売れてきた。
それなのに、お金のために作ろうとしたので、だから失敗しちゃった。そういう動機ではダメなのだ、とおっしゃっていました。

万華鏡は、もともと実用品ではないのですから、1000円どころかただでもいらないという人もいれば、100万円でも欲しいという人もいる。その証拠に高額でも売れるものは売れています。
やはり作品の力が人の心を動かすのではないでしょうか。
次回、和の万華鏡展は、少し考えて今までとは違う形にしようかなどと思っています。

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